MusignyBlancがつれづれなるままに書きなぐる備忘録


by MusignyBlanc
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とあるワイン会における心象風景 その6 第五ラウンド  (赤 ブラインド by L氏)

それにしても、今日のL氏は冴え渡っています。
さながら、その頭脳はデス・ノートの「エル」みたいですね。

そんなL氏が、出してくるブラインド、ただものであるはずはないでしょう。
そこまでは予想できるのですが、具体的にどんな銘柄なのかは皆目見当もつきません。ブルゴーニュの赤ワインということだけは決まっていましたが。

この日に先立つこと3日、メールでそれとなく探りを入れていたのですが、「まだ決めていません」とのことでした。
とはいえ、彼の家には膨大な在庫がありますから、そこから何を持ってくるのかは、まさに自由自在。

さあ、L氏がゆっくりとコルクを抜いていきます。
そして、皆のグラスに注いでいく。

う〜ん、なんとも、若すぎず、古すぎず、絶妙な色合いです。ちょうど良い頃合いかな。
さて、香りを嗅いでみます。

おおっと、これは衝撃!!。
何十もの花や果実を集めたかのような、華やいだ香り。これは凄い。凄すぎる!。

M女史も、N女史も大絶賛です。
そりゃそうでしょう。これほどのワインは滅多に飲めない。

でも、この香りはどこかで嗅いだことがあるような気がするぞ?
私の数少ない体験をたぐってみます。

そうだ、私の新しい職場への送別会をやっていただいた時に飲んだ

Mazi-Chambertin 2001 (d’Auvenay)
の香りにそっくりです。

でもなー。さすがにそれはないだろうなー。
いくらL氏でも。。。

というのは、傷んでいた白のところでも書きましたが、このd’Auvenay ドーヴネという造り手は、Leroyさんが運営する超人気ドメーヌで、しかもそこでのMazi-Chambertinというのはフラッグシップワイン。
半端な値段ではありません。

我々、大富豪ではありませんから、さすがにそれは無いだろう、と。青年実業家のL氏の財力ならば、もしかしたら、とも思いましたが、それにしてもやっぱりそれはないだろうなあ、と。

しかし、(私のような未熟者にとっては)今嗅いでいる香りは、まぎれも無く以前飲んだアレと同類の香りがします。

う〜ん、これをどう考えるか。。。。
そう言えば、完全なビオではないにしても、ビオ系のワインで、優れた造り手はこのような香りがすることもあるなあ。
例えば、Nuits-Saint-Georges (ニュイサンジョルジュ)の有名な造り手のl’Arlot (ラルロ)のごく最近のワインは、この系統の香りがしたなあ。
でも、今かいでいる、この香りはそれらに比べても別格だ!

でも、待てよ。
神の雫(有名なワイン漫画です)の第一巻にも記載されていたけれども、Vosne-Romanee (ヴォーヌロマネ)村の特級畑Richebourg (リシュブール)は、百の花を集めたような香りがするらしい。
そう言えば、以前、やはりL氏に飲ませて頂いたAnne Gros (アンヌ・グロ)作のRichebourgは良い香りがしたような気がするなあ。。。似てたような気も。。。
でも、あれよりは、d’Auvenayの方が近い気がするしなあ。。。。

香りはともかく、さて、飲んで味わってみます。
やはり予想どおり、果実味が豊かで、それでいて構造もしっかりしていて、奥行きがある。これは、今飲んでも美味しいが、熟成していくと、とんでもない化け物に成長するのではないか?

ますます、わからなくなってきます。

もう、女性陣はうっとりした表情を浮かべています。L氏は、どこか満足そうな表情を浮かべながらも、いたずらっぽく、「どうだ!、これ、すごいだろう。どこの誰のワインか、わかるかな?」
とでもいいたげです。
うーん、悔しいけれども、この感動は、どうしようもない。

そこで、L氏が
「さて、このワインは何年でしょうか?」

ワインの力強さからいったら、そんなに古いことは無いだろう、と思いました。以前飲んだ、Mazi-Chambertinが2001だったけれども、それより力強かったので、よりやや良い年の2000と私は答えました。
もっと良い年の2002だとすると、もっとタンニンが強いだろうからそれではないだろうなあ、と考えたこともあります。

果たして答えは・・・

L氏「1997年です」
orz….

全然外れました。
これだけ果実味と華やかな香りがあるので、もう10年以上経過していたとは、信じられませんでした。1997は、決して良い年ではないし。。。。

でも、この時点で、「それだけ、このワインはポテンシャルが高い。それ相応の造り手のものか、相当な優良畑のものだ」と思いつくべきでした。

さすがに、N女史も、M女史も、ヴィンテージを当てることはできませんでしたね。

次にL氏
「さて、このワインはどこの村で造られているでしょうか?」
とのたまいます。
L氏の表情に「ニヤリ」という一瞬の笑いが浮かんだのを、MusignyBlancは見逃しませんでした。

うーん、なんとかしなくては。
上記の理由で、畑がMazi-ChambertinならGevrey-Chambertin (ジュヴレ・シャンベルタン)村、RichebourgならばVosne-Romanee (ヴォーヌロマネ)村ということになります。l’Arlotの造るワインに近い香りがしたような気もするけれど、でもL氏の性格から言って、比較的地味なNuits-Saint-Georges村の畑ってことはないだろうしなあ。。。

さんざん、迷ったあげく

私 「ヴォーヌロマネ村です」
と言ってしまいました。

N女史は、「Chambolle Musigny (シャンボル・ミュジニー)村」
M女史は、「ジュヴレ・シャンベルタン村」

それぞれ、意見が分かれました。

ここで私は、ズルくこう言いました。
「Mさんもそう思いましたか。僕も一瞬そう考えたので、やはりジュヴシャン(ジュヴレシャンベルタンの略)にしておけば良かった!」

こうやって、万が一、ジュヴシャンだった場合に「いやー、実はそうではないかとも思っていたんだよねえ」と言い訳を言うための伏線を張っておきます。
(いや〜、セコイですね。でも、私なんて、こんなもんです^^;。)
他の3人と違って実力ないですから、ハッタリです(笑)。

果たして、L氏の答えは。。。。
「この中に正解者がいらっしゃいます・・・・」

ここで間合い。。。
ずいぶん気を持たせます。
やはりRichebourgだったのか。。はたまた、Chambertin系のワインか。。。。。
いろいろな考えが、MusignyBlancの頭を駆け巡ります。

L氏「シャンボール・ミュジニー村です」

ガラガラガラ。。。
私の心の中で、何かが崩れていく音がしました。
な、なんと、私の考えというか、味わい方は、完全に見当外れの方角を向いていたようです。
やはり私のテイスティング能力なんてこんなものです。

そうか、シャンボールか。考えもしなかったなあ。。。。。

嬉しそうなのはN女史です。
ソムリエの資格を持っているだけでなく、実際に日々ワインの売り場で飲み込んできておられる方です。ただ、事情があって、ここ一年ほどはワインを飲んでおられませんでした。
前述のように、今日は、一年ぶりにワイン解禁になった、お祝い会だったのです。

今日はこれまでに、N女史は、日本の白ワインでも、ムルソーでも、どちらも外しておられましたから、流石にブランクが大きいか、と思っていたのですが、やはり彼女の味覚は健在だったようです。
N女史も、そう思ったらしく、率直にそれを喜んでましたね。カワユイです。

振り返ってみると、今日、何も当てていないのは、私、MusignyBlancだけ、ということになってしまいました。まあ、実力的には順当ではありますが、やっぱりくやしいですよね。
ちょっとかっこいいところを見せたかったのに(そんな能力無いんですけど)、今日はやられっぱなしです。

するとL氏
「では、畑の名前を当てて下さい」

これだけは、どんな手段を使っても当てなくては。。。。
私の力では、ワインの香りと味から畑を当てるのは不可能。
そうすると、L氏の心理分析から推理するしかない!。

L氏の性格からしてどのような畑を選ぶだろうか?
もしも自分がL氏だったら、誰も知らないようなマイナーな畑は選ばないよなあ。。。。
せっかくブラインドにするんだから、みんなをあっと驚かせたいはず。。。
しかも、今日はN女史のワイン復帰のお祝い会。。。

いろいろL氏に問いかけながら、彼の表情を探るのですが、ポーカーフェイスで何もわかりません。
次第に心理戦の様相を呈してきます。

いろいろ考えを巡らせましたが、こういうお祝いの席に、しかもブラインドで持ってくるのですから、L氏の性格からいって、相当に有名な畑であることには間違いないだろう、というのが結論でした。
そうすると、シャンボル・ミュジニー村の中だとすると、以下の三つの畑しかあり得ません。

最初の二つは、シャンボルミュジニー村にある二つの特級畑です。
つまり、Bonnes Mares (ボンヌ・マール)とMusigny (ミュジニー)です。

(余談ですが、私のMusigny BlancというハンドルネームはこのMusignyという特級畑でとれる白ワインのことです。)

もう一つは、一級畑である
Les Amoureuses (レ・ザムルーズ)です。
これは、「恋人達」という名前の畑で、ロマンティックなのですが、しかし名前だけではなくて、並みいる特級畑を超える評価を得ている、スーパーな一級畑です。

そこで、私は
「レ・ザムルーズだと思います。多分、造り手はヴォギュエ」(後でわかるんですが造り手まで言わなきゃ良かった)

N女史は「ミュジニー」
M女史は「ボンヌ・マール」(記憶が定かでない、もしかしたらレザムルーズって言ってたかな?)

ここで、L氏が
「答えは、レザムルーズです。」

よっしゃあ!!。
やっと当たった。まあ、当てずっぽうだったけれども。。。。
女性陣の賞賛のまなざしが、私に対してほんの2秒間ほど注がれました。

L氏が続けて
「造り手は、Georges Roumier (ジョルジュ・ルーミエ)です」

その瞬間から、
N女史、M女史から
「キャー、ルーミエ、信じられない」
といった黄色い歓声が。。。。。

このジョルジュ・ルーミエなる造り手、まさにブルゴーニュワインのスーパースターなのである。今では、ジョルジュの孫のクリストフ (Christophe) が受け継いでいるが、そのクリストフもやはり天才。

最近では人気がありすぎて、売り出されれば一瞬のうちに売れてしまって、なかなか買うことができない。ましてや、彼のワインの中でもレザムルーズはミュジニーと並んで群を抜いて評価が高く、ほとんど手に入れることは難しい。。。。

おそらく、この1997ヴィンテージのルーミエ、レザムルーズには、今後一生お目にかかることはないでしょう。
いやー、それにしても凄いのを飲ませて頂きました。
ブラインドだっただけに、先入観なしで飲みましたが、それにしても本当に美味しかった。
やっぱり、ルーミエって凄い造り手なんだなあ、ということを再認識させられました。

ルーミエに関して言えば、今より安くて手に入りやすかった時代に、1980年代のは結構飲んだことがありました。それはもっと古典的な作り方で、熟成が進んでシルキーになって、ジワっとくる旨味が象徴的だったのですが、今回飲んだ比較的若いルーミエとはちょっとまた傾向の違いを感じました。今回の華やかなワインがもっと熟成すると、今まで飲んできたのと同じような印象を受けるシルキーな旨味のあるワインとなるのか、あるいは新しい当主であるクリストフが果実味を全面に出した新境地を開きつつあるのかは、未熟者の私には判断のつきかねるところではあります。

10年後に同じワインを飲めればわかるんだけれどもな。
でも、もう出会うことはないだろうなあ、これほど希少なワインには。。。。

というわけで、悲しいかな、畑を当てた私への女性陣の賞賛のまなざしはわずか2秒で終わったのですが、まあそんなことはどうでもよい。
こんな素晴らしいワインを提供して下さった、L氏にひたすら感謝感激でした。

いやー、完全なノックアウトです。
やられちゃいました。
でも、完全敗北であるにもかかわらず、心地よいですねえ。。
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by MusignyBlanc | 2008-09-24 19:27 | ワイン