MusignyBlancがつれづれなるままに書きなぐる備忘録


by MusignyBlanc
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時代の転換点

今、我々はまさに時代の転換点にいるのではないでしょうか。


日本国民というのは、島国ということもあってか、なかなかに保守的で、物事を改革するというのが苦手です。長年に渡って使われていた制度が時代の流れとともに古くさくなって制度疲労を来していても、内部からそれを変えることができません。

例えば、徳川家康や家光が長く続いた戦乱期を終わらせて平和をもたらそうとして作った江戸時代のさまざまな仕組みも、250年を超えた幕末には時代にそぐわなくなってきていました。平和な時代が長く続いたために商工業が発達したのですが、米本位制をとる幕府の財政は貨幣経済に対応していなかったために、悪化の一途をたどります。また、長い鎖国政策を続けていた間に世界は産業革命を経て飛躍的に近代化しており、幕府は欧米の列強国に対峙するための思想や手段を持ち合わせていませんでした。当時、権力を握っていた幕府は、これらの制度疲労をなんとか立て直そうとしますが、それは既得権益の否定にも繋がることですから、なかなか実現できません。やはり、内部改革というのは、とても難しいことなのです。

そこに、「黒船」が現れました。結果的に、黒船の外圧が日本国民の眼を目覚めさせて、全国の志士達を蜂起させ、強烈に時代を転換させるきっかけになったわけです。


また、太平洋戦争前の日本も似たような状況でした。明治の元勲達の優れた国家運営もあって、維新後は順調に国力をつけ、また日清、日露戦争に勝利することができたわけですが、逆にそれに過信してしまって、どんどんと泥沼にはまって行ってしまった訳です。日米開戦の前には、情報を持っている日本の軍隊(特に海軍)は、国力のあるアメリカに勝てるとは思っていなかったわけですが、世論やマスメディアもイケイケドンドンで、とてもアメリカの要求を聞き入れて大陸の権益を放棄することを条件に戦争を回避する、なんてことは言い出せない雰囲気になっていました。結果的に誰も望んでいなかった戦争に突っ込むことになって、日本国民の生命と財産に大きなダメージを与えることになりました。なぜ、誰もが破綻するとわかっていたのに、開戦に進まなくてはいけなかったのか。。。ここにも、日本民族の保守性というか、物理用語で言えば「慣性の法則」の強さが伺われます。

ところが、敗戦となってマッカーサーに率いられたGHQが進駐してくると、すぐに国民一丸となって考えを転換して、国の復興に努め、その後の高度成長時代を築きました。この変わり身も早かった。


日本民族というのは、「和」を重んじる民族です。ですから、国民全体がある方向に進んでいる時に、それに異を唱えると「和を乱す」ことになるであろうと気を遣ってしまい、結局異論を挟めないということなのでしょう。こういう民族性が、保守的な姿勢、大きな慣性、というものを生んでいるのでしょう。

しかし、上述のように例外もあります。つまり、幕末や太平洋戦争のような、とんでもない外圧や国難が訪れた時、ということです。あまりにも大きな衝撃、カタストロフィーに瀕した時には、逆バネとして、信じられないくらいに大きな力を集団で発揮する民族でもあるのです。その結果、そのカタストロフィーが時代の転換点となって、さまざまな国家の体制や制度が急速に変わっています。



MusignyBlancには、今の日本がそういう時代の転換点にあるのではないか、という気がしてなりません。


太平洋戦争後は、東西の冷戦時代が訪れます。この時代は、日本にとっては、アメリカの庇護の元に自分で何も考えなくても経済的な繁栄を享受できる、ある意味幸せな時代でした。もちろん、ある意味で、不幸せな時代と見ることもできますが。。。

アメリカが核の傘と日米安保で守ってくれますから、安全保障については考える必要も、お金をかける必要も無い。ただ、西側陣営のための後方支援として営々と工業用品を作れば良かった訳です。日本は80年代後半にはバブル経済を謳歌し、結果的に1993年には国民一人当たりのGDPが世界一になりました。

しかし、ベルリンの壁崩壊に象徴されるように東西冷戦が終結し、インターネット・ITによる情報革命が起こると、世界のルールが変わりました。これまで、東西陣営の垣根を超えることができなかった、ヒト・モノ・カネがいとも簡単に世界各地を飛び回るようになった。資本も人材も、世界の最適地に投下され、情報もあっという間に世界中に行き渡るようになります。

こうすると、高コスト体質の日本はなかなか今までのようには世界と勝負できなくなりました。過酷な受験競争である程度均一に優れた能力のある人材を輩出してきたシステムは、規格大量生産によって支えられた高度成長期にはうまくハマったのですが、IT革命後のアイデア勝負になると必ずしも力を発揮しなくなりました。ビル・ゲイツやスティーヴ・ジョブスのような天才がなかなか生まれません。さらに、ゆとり教育によって、「ある程度均一に優れた能力のある人材」すらも払底してきました。

明らかに世界のシステムが大きく変わっているのに、戦後の様々な日本の規制や古いシステムが、新しい時代に適応するのを邪魔しています。それを改革しなければ、日本は長期低落をたどる訳で、実際、ここ20年間ほどの間にほとんど経済成長していません。世界の多くの国々が、大なり小なり経済を拡大させているのに、日本だけがずっと横ばいです。80年代には、少なくとも世界経済問題はアメリカと日本の両国で話し合えば良い、というところまで行っていたのに、今では世界における日本のプレゼンスは極端に小さくなってきています。国民一人当たりのGDPも、アジアではシンガポールにも抜かれ、OECD諸国の中でも下から数えた方が早くなってしまいました。


つまり、総論では、日本国民誰もがこのままではいけない、とわかっている訳です。とはいうものの、これまでの規制に載っかって生活している人も多いですから、いざ、そのシステムを変えようとすると、各論で猛烈な抵抗を受けます。特に、官僚やこれまでに保護されてきた業界(マスコミ、金融、そして今話題の電力業界など)が激しく反発します。国民ですら、大きな手術は痛みを伴いますから、そういう過激な改革は望みません。あまりにも、慣性の法則が働きすぎていたんですよね。結果として「長期に渡る緩やかな死」を迎えつつありました。MusignyBlancは、このまま行けばこの先50年くらいかけてアジアのどうでも良い誰も気にしない小さな国になってしまうな、と感じていました。


そこに今回の大地震、大津波、そして原発事故です。まさに、この未曾有の三重苦が日本を「緩やかな死」から「突然死」へといざなっています。このショックは、制度疲労を来して緩やかな死を迎えつつあった日本にとっては、「突然死」をもたらしかねないほどの、黒船や太平洋戦争敗戦並みのインパクトがあるのではないでしょうか?

であるとするならば、そこから、日本民族固有の力、カタストロフィーに瀕した時の底力が発揮されるのではないでしょうか。今回の大震災で、人生観が変わった人、使命感を抱いた人も多いでしょう。そして、そういう人達が少しずつ増えて行くことで、日本人全体が新たな再生の道を志向するようになる。。。。

今回の大震災の悲劇は非常に残念な出来事ではありますが、でも、起きてしまったのであるならば、せめて日本再生のきっかけになってくれることを願ってやみません。
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by MusignyBlanc | 2011-03-25 01:22 | 自己紹介